記憶喪失の少年と、賞金稼ぎの娘っこの日記。
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「近道、近道なのデスよーっ」
帰り道。屋根の上を駆けて帰る。
ちゃぷん、と鞄の中で水の踊る音がした。はっと我に返り、地面に降りた。
それを取り出し、ほんのりと射す月の光に翳してみる。
瓶の深い緑の色が揺らめく。その中で、光った。
深い緑と混じるようにして、時折顔を現す緑よりも深い深い、赤色。
何かに似ている、なんだっけ。思い出せそうで思い出せない。
ん、と一人思考を巡らせた。揺らめく、赤色。
ふ、と目の前を過った。柔らかな布が、目の前をふわりと。
嗚呼、 そうだ。分かった、彼だ。これをくれた彼の色だ。
男性から何かを貰ったのは、初めてだな。ぼんやりと思考を巡らせた。
勿論他意なんか、無い。彼も「叔母さんに」と言っていた。
私自身も、意識などしていない。でも、少しばかり。
(ばれないと、いいな)
これは、私が二十歳になるまで隠しておこう。
叔母さまに全部飲まれるのも、なんだか少し悔しい。
鞄に戻すと、ひらりと屋根の上に駆け上がる。
さあ、帰路を急ごう。叔母さま、寝ているといいんだけど。