記憶喪失の少年と、賞金稼ぎの娘っこの日記。
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「 親愛なる叔母さまへ
お元気してますか?クリンシアです。
今度、今居るエルフヘイムからまた出ることになりそうです。
なので、お返事はいりません。
そう、叔母さまにまた少しだけれどダルク送りました。
また受け取ってもらえないと困るので、父のもとに送りつけておきました。
ちゃんと受け取って下さいませね。
ではでは、また。
また違う都市についたら、お手紙します。
」
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自分を殺すことにも似ていると思った
「リンシィは怖くないの?」
「……何がデス?」
「殺すこと」
「殺すこと?」
ん、と首を傾げて、それから彼女は言った。
「何を、恐れることがありましょう」
いつもの彼女らしくない声で、とてもとても優しい笑みで。
それを少し、怖いと感じた。
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「ベガさま、ベガさまー!お邪魔しますヨー!」
…、……やっぱり、君、か。
……リンシィ、君は女の子なんだから、もっとお淑やかに振舞えないの?
今日はリンシィには構っていられないの、悪いけど帰ってくれるかな?
「私、親方さまに武器の錬成頼みたいって言ったじゃないデスか!」
ああ、そう言えばそんなことを言ったっけ、でもその、悪いけれども今日は無理。
渡すのも遅くなりそうだし、本人に直接届け……
「えー、いいじゃないですか、ベガさまのいけずー。兎にも角にも、約束したんデスから―――…」
あああ、もう!頼むから騒がないで!
頭痛いんだ、ガンガンする。君は黙ることが出来ないんだから、早く―――…
……―――って!何をしてるの、リンシィ!
「何って、熱を計っただけデスよ?」
………、……ああ、もういいよ。君にまともな回答を期待した僕が悪かった。
近い、近いよリンシィ。離れて。君は本当に、もっと女の子として自覚を持ったほうがいい。
「お風邪のときはこうやって熱を計るんデスよ?かあさまが昔、して下さいました。」
…、………。……そう。
「どうなさいました?ベガさま?」
…、……なんでもないよ。今日は具合が悪いから早く寝る。
リンシィの大剣は明日にでも持っていくから、また明日来て?
「え?でもベガさまお風邪でひとりは―――……」
いいから!大丈夫! じゃあ、ハイハイ、また明日、ね!
「ベガさま、本当に……」
(ばたん、扉が閉じた)
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光など、届かない。
そんな下層に朝を告げるものは何か、我が家はこれ。
カンカンカンっ、と、耳障りすぎる音。
金の髪を揺らす彼女が手に持っているのは、フライパンとフライ返し。
「リンシィ、もうちっとマシな起こし方は無いんかい」
「おばさまが声掛けて起きれば、こんな煩くしませんヨ」
エプロンを外して壁に掛けた。焼けたベーコンとパンのかおり。
「ちゃっちゃと食べて下さいネー、これからお仕事なんデスから」
「んじゃ、行ってきまス、片づけお願いしますデスよ」
「およ、もう行くんかい、働き者やのぉ」
「誰のせいだと思ってるんデスか?」
「さぁ、誰のせいかのぉ」
「昨日も隣のおいちゃんと浴びるように飲んでたたじゃないデスか」
「悪い悪い、まぁ酒はあたしの生きがいさね、奪わんといて」
しょうがないデスね、と呟くと大剣を背負った。
きぃ、と扉を開けた。薄暗いゴミ溜めの様な、此処は下層。
「なぁ、リンシィ。お前、母親に似てきたなぁ」
あまりにも突然だったので、瞳を瞬かせた。
「…当たり前デス、あの人の娘デスから。私は。」
扉が閉じてから叔母が呟いた言葉は、クリンシアには届かなかった。
とん、かん、とんとん、かん。
じゅうっと上る湯気、叩かれるたびに飛び散る熱。
「おいベガ、ちょっとこっちゃ来い」
「はいはい、今行くのだよ、ちょっと待って」
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