忍者ブログ

ふたつの、おと

記憶喪失の少年と、賞金稼ぎの娘っこの日記。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

01. 空を飛んで見せて


その日は、仕事を終えて帰る途中。一番好きな時間、マジック・アワー。
そんな素敵な時間に、とてもとても素敵な男性に、ナンパをされた。

「お姉ちゃん、ねえ!」

私の腰ほどまでの少年は、私の上着を掴んで人懐こい笑みを浮かべていた。

「どうなさいましタ?」
視線を同じ高さまで落とした。少年の目は空と同じ色をしていた。
少年は腕に傷があった、薬でも欲しいのだろうか。それなら、 ―――…

「お姉ちゃんは、魔法使いなの?」
「―――――― ハイ?」
あまりにも予想外過ぎて、ぱちくりと瞬く。

「お姉ちゃんは、魔法使い? 俺、お姉ちゃんが空を飛んでいるの見たことあるよ」

空。

私が空を飛ぶだなんて、出来る訳がない。だがしかし、少年は構わず話を続ける。
「お姉ちゃんが空を飛べるんでしょう?俺も練習したけど、なれなかったよ?」
聞くと、少年はどうやら「私の真似」をしていたらしい。
傷もきっとそのせいだろう。子供の夢と、少年の傷、どちらが一大事か秤に掛ける。

「私はただのスカイランナーで、魔法使いではないのデスよ?」
しかし、少年はそれでも信じることをやめない。

「お姉ちゃんは魔法使いだよ。目は赤いし、それにほら、とっても綺麗。」



更に、予想外だった。

最近の子供はこんなことをさらりと言うのだろうか。いや、子供だから?
調子を狂わされつつも、その無邪気さに思わず笑みが零れる。

「ねえ、空を飛んで見せて」
青い瞳を細めて笑った。
返事はせずに近くの廃材を蹴り、屋根に駆け上がる。
わざとらしくひらりと身を翻して、屋根の上を飛んだ。

「ほらやっぱり!」

空を掛けるだけの、私は魔法使いではないけれど。
笑顔にすることが出来るのなら、魔法使いでも良いと思った。


本当に魔法が掛りそうな、時間。
赤と青の混じりあう、マジック・アワー。

PR

コメント

コメントを書く

お名前:
タイトル:
文字色:
メールアドレス:
URL:
コメント:
パスワード:   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

03 2026/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

カテゴリー

プロフィール

HN:
どこかのえんどぶれいかー
性別:
非公開
自己紹介:
● 星探しの少年騎士
  ふたりの星を探し
  思いを馳せ空を見上げる。
  生きとし生けるものを愛す
  ちいさなちいさな、騎士。
  
● 笑顔中毒、幸福論者
  母親に褒められた
  笑顔はたからもの。
  たくさんの人の笑顔の為
  今日も元気に跳ね回る。

● ふたりのこと

リンク

最新コメント

[08/04 アムオス]
[07/27 アムオス]
[06/12 アムオス]
[04/18 リゥ・ダーダ]
[04/11 リゥ・ダーダ]

最新記事

フリーエリア

バーコード

RSS

ブログ内検索

アーカイブ

最新トラックバック

P R