記憶喪失の少年と、賞金稼ぎの娘っこの日記。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「どうなさいましタ?」
視線を同じ高さまで落とした。少年の目は空と同じ色をしていた。
少年は腕に傷があった、薬でも欲しいのだろうか。それなら、 ―――…
「お姉ちゃんは、魔法使いなの?」
「―――――― ハイ?」
あまりにも予想外過ぎて、ぱちくりと瞬く。
「お姉ちゃんは、魔法使い? 俺、お姉ちゃんが空を飛んでいるの見たことあるよ」
空。
私が空を飛ぶだなんて、出来る訳がない。だがしかし、少年は構わず話を続ける。
「お姉ちゃんが空を飛べるんでしょう?俺も練習したけど、なれなかったよ?」
聞くと、少年はどうやら「私の真似」をしていたらしい。
傷もきっとそのせいだろう。子供の夢と、少年の傷、どちらが一大事か秤に掛ける。
「私はただのスカイランナーで、魔法使いではないのデスよ?」
しかし、少年はそれでも信じることをやめない。
「お姉ちゃんは魔法使いだよ。目は赤いし、それにほら、とっても綺麗。」
更に、予想外だった。
最近の子供はこんなことをさらりと言うのだろうか。いや、子供だから?
調子を狂わされつつも、その無邪気さに思わず笑みが零れる。
「ねえ、空を飛んで見せて」
青い瞳を細めて笑った。
返事はせずに近くの廃材を蹴り、屋根に駆け上がる。
わざとらしくひらりと身を翻して、屋根の上を飛んだ。
「ほらやっぱり!」
空を掛けるだけの、私は魔法使いではないけれど。
笑顔にすることが出来るのなら、魔法使いでも良いと思った。
本当に魔法が掛りそうな、時間。
赤と青の混じりあう、マジック・アワー。